「カスハラ」、「就活セクハラ」の防止策等を企業へ義務付ける改正労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法が2025年6月11日に公布されました。
企業は深刻化している「カスハラ」、「就活セクハラ」への理解を深めるとともに、対策を行うことが求められます。
なお、事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針によって示されるとされています。
ハラスメント対策強化に向けた改正ポイント
カスタマーハラスメントや、求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
カスタマーハラスメント対策の義務化
カスタマーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。
- 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う
- 社会通念上許容される範囲を超えた言動により
- 労働者の就業環境を害すること
事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後指針において示される予定です。
- 事業主の方針等の明確化及びその周知、啓発
- 相談体制の整備、周知
- 発生後の迅速かつ適切な対応、抑止のための措置
求職者等に対するセクハラ対策の義務化
求職者等(就職活動中の学生やインターンシップ生等)に対しても、セクシュアルハラスメントいわゆる「就活セクハラ」を防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後指針において示される予定です。
- 事業主の方針等の明確化及びその周知、啓発
(例:面談等を行う際のルールをあらかじめ定めておくこと等) - 相談体制の整備、周知
- 発生後の迅速かつ適切な対応
(例:相談への対応、被害者への謝罪等)
女性活躍のさらなる推進に向けた改正ポイント
2026年3月31日までとなっていた法律の有効期限が、2036年3月31日までに延長されました。
情報公表の必須項目の拡大
これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務付けられていた男女間賃金差異について、101人以上の企業に公表義務を拡大するとともに、新たに女性管理職比率についても101人以上の企業に公表を義務付けています。
(施行日:2026年4月1日)
企業規模 | 改正前 | 改正後 |
301人以上 | 男女間賃金差異に加えて、2項目以上を公表 | 男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、2項目以上を公表 |
101人~300人 | 1項目以上を公表 | 男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、1項目以上を公表 |
※従業員301人以上の企業は、①「職業生活に関する機会の提供に関する実績」から1項目以上、②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備の実績」から1項目以上の、計2項目以上を公表することと、従業員数101人以上の企業は、①及び②の全体から1項目以上を公表することとされています。
※従業員数100人以下の企業は努力義務の対象です。
プラチナえるぼし認定の要件追加
プラチナえるぼし認定の要件に、事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることが追加されます。
(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
※現在、プラチナえるぼし認定を受けている企業も、認定を維持するために、事業主が講じている求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表することが要件となりますが、今後の省令等の整備において、一定の猶予が設けられる予定です。
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